「建築裁判意見書、工事監理」鈴栄建築設計監理事務所



  建築トラブル・紛争 発生が予想される事例   M1.雨漏り

































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































 
トラブル・不具合発生が予想される事例(訴訟に発展する??? ケース!!!)

          B. 鉄骨造(S造)           


                  理解を深めていただくために、 まず、鉄骨造新築工事・改修工事 での屋上防水工事の流れを ご説明していきます。
                     
         

  

  
  

              

     






  

  

   
              

    



              
    





         1.雨漏り        
建物の不具合の中で必ずクレームになる事象は「雨漏り」です。使用
していて不便なことはもちろん、放置すると建物を腐敗させ構造的にも
影響を与えます。具体的に雨水が侵入する
 場所と原因と対策を鉄骨造の建物
について考えて行きましょう。


(1) 屋上
 
                     

ルーフドレイン周りからの雨漏り

防水シート(シート防水・アスファルト防水)接続部からの雨漏り

金属等の埋め込み部からの雨漏り

太陽光発電パネル取付け部からの雨漏り


         ▼鉄骨造 陸屋根 屋上見取り図▼
 


鉄骨造の場合、シート防水・アスファルト防水・ウレタン防水等を使い
ます。新築工事ではシート防水が多く、ウレタン防水はバルコニー等の
狭い場所で使用されます。また、劣化したシート防水を改修する場合は
ウレタン防水を使用する場合が多くあります。


                 建物屋上の断面図と 断面詳細図を次に 示していきます。
           


         ▼鉄骨造 陸屋根屋上 断面図▼
  



          ▼Z 部拡大断面図-1▼
  



           ▼Z 部拡大断面図-2▼
  
  
  


            

ルーフドレイン周りからの雨漏り            

ドレインは大きく分けて横型と縦型の二種類あります。鉄骨造で使用するもの
は鋳鉄製、アルミ製、ステンレス製などです。コストの面を重視して一般的に
は鋳鉄製が使われます。
                                
 
屋上からの漏水で一番多いのはドレイン周りからの雨漏りです。ドレイン
の縁に接着材を塗って被せるように防水シートを貼るので経年劣化や施工
不良で切れたり剥がれたりしてくるとそこから雨水が侵入します。

下地処理を十分行い基本的な工程をしっかり守って、時間に余裕を持って
作業することが非常に重要です。
工期に追われるのが一番良くありません。
しかし、年月が過ぎると防水層が痛んで来るのは仕方ないので雨漏りが
発生する前に定期的な点検とメンテナンスをすることはとても大切です。


防水シート(シート・アスファルト防水)接続部からの雨漏り

防水シート接続部(重ね継ぎ手)からの漏水も発生します。シートは太陽
光線や風雨などによって年数が経過すると劣化してきます。重ね部分の
隙間や傷口から雨水が侵入して膨れたり凍ったりして段々と剥がれが進み、
そこから室内への雨漏りが発生するのです。建物にとっても傷はとても
痛い存在です。

ドレイン周りと施工方法の考え方は同じですが、屋上に塗る接着材の塗布
についての監理はとても重要になります。下地の清掃と乾燥を十分に行い
ムラの内容に適切な量の接着材を塗布しなければなりません。下地が濡れ
ている状態での施工は絶対に不可です。


修繕の方法は、傷や劣化が少ない場合はそのまま接着面を処理して適切な
大きさのシートを上から貼ります。膨れが大きかったり傷が深かったり
する場合はその部分を一部切り取って処理をしたのちシートを上から貼り
ます。剥離が大きくなったり傷が広がらないうちに修繕した方が良いので
す。建物の寿命を延ばすために定期的なメンテナンスをお勧めします。



金属等の埋め込み部からの漏水

以外に忘れがちな漏水箇所はアンテナや物干し等の金属埋め込み部分です。
四角いコンクリートの塊だけをただ置いてあるだけであればそれほど問題
になりませんが(コンクリートの重みで防水シートが弱くなることがあり
ますので注意してください。) 

屋上に固定した場合は要注意で、金属パイプなどの周りが劣化して
隙間が空きそこから雨水が侵入する可能性があります。ここが雨漏り
の原因だと解れば、その部分をコーキングで埋めればほとんど解決します。
しかし、中々発見するのが難しいのでなるべく設置しないほうが良いで
しょう。


太陽光発電パネル取付け部からの漏水

陸屋根(平らに近い状態の屋上)に太陽光発電パネル(ソーラーパネル)
設置する場合があります。屋上の上に鉄製架台を置き防水シートにビスを
打って架台を固定してパネルを載せます。最後にビスの周りにコーキング
を充填して完了です。ここで問題になるのが、コーキングの隙間や劣化
です。十分乾燥していない所にコーキングを打ったり、作業を急いだため
に空洞ができたり、コーキングの劣化で切れや隙間ができたりと漏水の
原因は様々です。

屋上のZ部拡大断面図-2で記載していますが、ビス穴からの雨漏りは発見
するのが難しく修繕が容易ではありません。パネルを全部外してからで
ないと作業できないため多額の費用と手間が掛かります。木造住宅でも
同じことですが、防水層や屋根材を破ってビスを固定することは絶対に
やめた方が良いと私は思っています。屋根を傷つけると建物の寿命は、
確実に短くなるからです。



    
   太陽光発電パネルは、地面の上に置きましょう!!! 



(2) 外壁

サッシ周りからの漏水

ALCパネル継ぎ目からの漏水

給気口、ガラリ等周りからの漏水

レンジフード開口部からの雨水侵入

   
        ▼鉄骨造 建物立面図▼
  
  
  

  

鉄骨造の場合外壁材はALC板(軽量気泡コンクリートパネル)や金属製の
パネル板(スチール、アルミ、ステンレス等)が多く使われます。上図は
ALC板を例にしていますが隙間の考え方は全て同じです。


                

コーキング(シーリングとも言う)が命

壁からの漏水も見逃すことはできません。鉄骨造は隙間だらけなの
ですが上記立面図のように隙間はコーキングで充填することが基本
です。切れ目なくしっかりと充填されていれば問題は発生しません。
しかし、年月が過ぎるとどうしても劣化してきます。経年劣化です。



 
              

コーキング工事も作業前の段取りが大切

屋上ルーフドレイン周りでお話ししましたが、コーキング工事も
十分な清掃と下地処理(プライマー塗り)が大切です。そして十分な
コーキング材料の打込みです。コーキング打ちは見ていると簡単
そうですが、実際やってみると素人にはなかなか上手くいきません。
職人技です。もう一つ重要な点は施工面が十分乾燥しているという
ことです。濡れていると工事はできませんので注意しましょう。
十分な工事期間を確保することが雨漏り対策には非常に重要なの
です!!!




                    



  

  
                                        
         
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                 06-1su